止まらない原材料費高騰


 

止まらない原材料費高騰

 

 

 いつもメルマガをご覧頂き本当にありがとうございます。

 

 今回は日本全体が苦しむ原材料費高騰の背景と、食品業界が今後どのように対応すべきかを考察しました。食糧自給率があまり高くない日本において海外からの原材料輸入に依存しているのが現状ですが、海外においては長引く戦争や天候不良等の不安材料が数多く存在し、今後も長期にわたる値上げ継続が予想されております。この様な難しい状況の中、私達はどの様な対策を取っていけばよいのでしょうか。

  

  

1.原材料費と市場の値上げの推移

 

2.原材料費高騰の背景

 

3.私達がすべきこと

  

 

1.原材料費と市場の値上げの推移

 

日本の食料自給率

 

 原材料費高騰と値上げの推移を見ていく前に、まずは日本の食料自給率について確認したいと思います。以下のグラフは、農林水産省が令和5年8月付で発表したデータから一部を抜粋したものです。このデータによれば、小麦・大豆・油脂類等、数多くの原料を日本は輸入に頼っており、米や野菜以外はほぼ自国では賄いきれていないことが分かります。日本の食料自給率は食生活の欧米化と共に1960年頃から下がり続けていると言われており、令和4年時点でカロリーベースで38%しかありません。食料自給率が低いという事は輸入品に頼らざるを得ないという事であり、輸入品目の価格上昇が市場価格にダイレクトに反映されてしまうという事になります。

 

 今回、農林水産省による”令和4年度 食料自給率・食料自給力指標について”のデータを参照しました。ご興味ある方はリンクを設置しておきましたのでご確認下さい。また、食料自給率の算出方法については様々な議論があり、他の算出方法でのデータを公表している機関も数多く存在します。今回は国の公式のデータのみを参照しておりますのでご了承ください。

 

参照:農林水産省 令和4年度 食料自給率・食料自給力指標について

 

原材料費の推移

 

 続いて原材料の価格の推移を見ていきます。先程の農林水産省のデータから、日本は食料品の多くを輸入品に頼っており、国際価格の変動が国内価格に大きく影響することが分かりました。ここでは農林水産省が発表している”穀物等の国際価格の動向のデータ”を参照します。2020年以降、気候変動や戦争等の影響で原料価格が大きく乱高下している様子が確認できます。過度に輸入品に依存する日本にとって、海外での事象発生は対岸の火事ではなく、私達の暮らしに直結する重大事案だという事を認識する必要があるでしょう。今回もリンクを設置しておりますので興味のある方はご確認下さい。

 

参照:農林水産省 世界の穀物需給及び価格の推移

 

 

 

市場における値上げの推移

 

 それでは私達の日々のくらしに対して、実際どの程度影響が出ているかを見ていきたいと思います。農林水産省が小売店の価格動向を把握するために実施している食品価格動向調査(加工食品)の調査データを参照したいと思います。私達の日々のくらしに欠かすことの出来ない加工食品の価格の推移を見ることにより、各家庭への影響の度合いをある程度把握する事が出来ます(※トピックが膨らみすぎる可能性があるため、今回は賃金上昇等の関連要素は考慮しておりません)。以下のグラフは調査データの一部を抜粋したものですが、ウクライナ侵攻が始まった2022年/令和4年頃からの価格指数上昇が顕著に表れております。戦争が発生したことにより原料調達関連のサプライチェーンが大きく混乱し、各企業は価格を上げざるを得なかったと思われます。急激な値上がりが続いた去年までと比べ価格上昇は若干落ち着いてきているようですが、価格上昇を引き起こし不安材料は数多く存在しますので、今後もまだまだ油断はできません。

 

参照:農林水産省  食品価格動向調査(加工食品)

 

 また、値上げ要因に関する統計データが東京データバンクの調査結果として公表されておりますのでご紹介します。右は東京データバンクによる”「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2024年5月”より抜粋しました。やはり原材料費が高騰していることが大きな要因を締めております。

 

参照:東京データバンク 「食品主要195社」価格改定動向調査 ― 2024年5月


 

 

2.原材料費高騰の背景

 

 これまでに参照した様々なデータを見ていくと、原材料高騰の大きな理由は①サプライチェーン関連国での戦争、②サプライチェーン関連国での天候不良が大きな要因だと考えられます。2000年から現在までの農林水産省の統計データを確認すると、戦争や天候不良の年には必ず国際価格が乱高下しています。特に2020年以降、アメリカ大陸での異常気象やロシアによるウクライナ侵攻により上昇した穀物等の国際価格は、依然高い水準を維持したまま下がる気配がありません。農林水産省のデータを再度下に引用しておりますで、2000年からの価格変動についてご確認下さい。

 

参照:農林水産省 世界の穀物需給及び価格の推移

 

 

 また、原材料高騰は様々な要素が絡み合い、全体として価格が押し上げられていると考えられます。原料を製造するにはエネルギー費や人件費がかかり、日本に輸入するためには輸送費や外貨が必要です。世界的にこれらの費用がかなり上昇していることにくわえ、歴史的な円安もかなりの負担となり、原材料費の価格が大幅に上昇しているようです。これらの要素はお互いに影響を及ぼし合う特性があり、例えば人件費が上昇すれば輸送費も上昇します。どれか一つの要素(価格)が下がったとしても原料価格が急激に下降に転じる事は、(ドラスティックな改革等が行われない限り)あまり期待できないでしょう。正確に時期を予測する事は不可能ですが、この先当面の間は原材料費高騰に苦しむ時期が続きそうです。

 

参照:経済産業省資源エネルギー庁 令和4年度エネルギーに関する年次報告(エネルギー白書2023)

参照:厚生労働省  令和4年版 労働経済の分析

 

 

 

3.私達がすべきこと

 

 これまで参照してきたデータや日々のニュースを見る限り、今後劇的に原材料費が下がることは期待できそうもありません。長引く戦争や先進各国のインフレの状況により、今後更なる価格上昇があるかもしれません。そんな中、私達がこの状況に立ち向かい市場において生き残っていくためには、どの様な対策を取ればよいのでしょうか。

 

自分たちの製品に更なる付加価値を

 

   第一に考えるべきは、参戦している市場において存在感を放つことの出来る自社独自の付加価値を創造する事ではないでしょうか。これまで日本は値下げや価格転嫁の拒否を何十年も継続して行った結果、自分たちの市場を自分たちの手で破壊してしまった経験があります。もちろん市場や消費者の感情も考慮しなければなりませんので、それらの決断が一概に悪とは言い切れません。しかし、経済活動の維持を継続し続けるという事は、経済活動の停滞・衰退を招きます。経済活動を維持するのではなく発展させていくため、良い意味で市場や消費者から選ばれる製品を創造していくことが不可欠であると個人的には考えております。

 日本政府も付加価値の創造については積極的に推進しており、ものづくり補助金(ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助金)の新しい枠として”製品・サービス高付加価値化枠”が令和6年1月31日より公募開始されました。この様な政府からの公的な支援を受けながら、自社独自の強みを持つサービスや製品開発を推進していくのも一つの手段だと考えます。

 

参照:中小企業庁「ミラサポplus」担当者に聞く令和5年度補正ものづくり補助金 「製品・サービス高付加価値化枠」「グローバル枠」とは

 

ムダの排除と効率化

 

  そして、常日頃からこのメルマガでお話させていただいている通り、非効率な作業を廃止し全ての作業工程を効率化する事が、今後生き残っていく企業には不可欠だと考えます。なぜなら、成果:アウトプットより資源投入量:インプットの方が大きい状況では、付加価値の創造など不可能だからです。日本の低い労働生産性が指摘されていることは周知の事実ですが、個人的に日本の大きな原因は”自動化可能な業務をいまだに人間が行っている”ことではないかと考えております。

 

機械で出来る業務を人間が行ってはならない

 

 もちろん人間の手作業を否定しているわけではありません。機械では真似出来ない作業を人間の職員の方が行う事は、自社独自の強みを発揮する素晴らしいチャンスであり、自社のサービスや製品に対する付加価値の創造につながります。ただし、機械で完全に自動化出来る事が分かっていながら人間がわざわざその作業を担当している状態は、完全に非効率な状態であり付加価値の創造は不可能です。機械が出来ることは機械に任せ、人間は人間でしか実行不可能な業務に集中して自社独自の強みを磨いていく努力をしていくべきではないでしょうか。

 

 

 今回も私達のメルマガを最後までお読みいただきありがとうございます。今回の記事を書いて行く上で、以前このメルマガで”ロボットは人間の仕事を奪うのか”という記事を書いたことを思い出しました。機械やロボットによる自動化については、特にコロナ以降大きな話題ではありますがまだまだ自動化に対する認識は十分ではないと感じております。この先、日本は原材料費高騰に圧迫されつつ低い生産性とともに更に衰退していくのか、それとも自動化推進の流れとともに生産性と付加価値を高めながら原材料費高騰の逆境に打ち勝っていくのかは、現時点ではまだ誰にも分かりません。ただ一つ言えることは、今後日本がどうなるかは全て私達一人ひとりの自覚と行動にかかっているという事です。今後は更に様々な自動化のためのサービスが開発されることでしょう。それらを積極的に取り組んでいくのか、それとも現状維持に取り組むのかでそれぞれの企業の未来が大きく変わっていく気がします。皆様、自らの会社のポテンシャルを信じて毎日成長していきましょう。

 

以前の記事も是非お読みください。

参照:ロボットは人間の仕事を奪うのか

 

 

 それではまた次回のメルマガでお会いしましょう!!

 

◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆◆

取扱製品のご紹介

私達は、様々な製品に対応する多種多様な機械を扱っております。

ぜひ一度ご覧ください。


Baker-Bot

毎日出勤!休憩なし!昼夜を問わずに働くベーカリーアシスタント

人間のそばで安全に作業を実施します。反復運動などはベーカリーアシスタントが担当するため省人化、作業軽減が可能です。

 

特長

  • 設置面積が小さいため既存の生産ラインに簡単に適合
  • セットアップが簡単なアプリべースのインターフェース!
  • 環境に合わせて3つのサイズから選択できます。

Baker-Bot 機能紹介

Baker-Bot 運用方法紹介


Multi Station

ギアホイールデポジッターの最大6倍速を実現!ハイパフォーマンス充填機

ギアホイールデポジッターより最大6倍速い高速製造とノズルによる正確な充填を提供します。

ココナッツマカロン、固形バター、パイ、粒入りペースト、エッグカスタードなどの様々な製品に理想的に対応できます。

 

 

特長

  • 停止時間を減少
  • 各ノズルからの注入量を同時調整
  • 粒入りペースト充填
  • 製品の容積測定可能
  • コンベア一体化したコンパクトデザイン
  • 内臓パンセンサー、PLCコントロール
  • 各充填ノズルは容量測定により量が調整される
  • 固形バターと最大1/2インチまでの塊を簡単に処理
  • エッグカスタードなどの全ての液体を処理
  • 丸洗い可能な着脱式ベルト


iPump

操作と移動が簡単な敏速移送ベストセラーポンプ

アイポンプは省スペースで操作と移動が簡単なポンプです。移送先の充填機ホッパーやタンク類が溢れないようスムーズな汲み上げ技術で品質を損なうことなく敏速に移送することができるベストセラーポンプです。

 

特長

  • 力仕事が不要の自動運転連続生産
  • ミキシングボウルや桶類等から食材を直接吸い上げ
  • 50ℓ~140ℓまでのほとんどのミキシングボウルや桶類等に多用途に運用可能
  • 1.5インチ(38㎜)径フレキシブル柔軟排水ホース先はホッパー縁にひっかけられるUパイプ固定式
  • 異なる種類の食材の為の速度調節機能
  • 食材が移送先のホッパーから溢れないよう自動的に水位を定める残量センサーは充填機精度にも貢献


ELF 400

部品が少なく、コンパクトで多機能な卓上型充填機

手軽な作業用として設計されており、正確な部分制御を迅速に行うことを保証し、数秒で完全に分解することができます。 液体から高粘度・固形製品までに対応します。 ホテル&レストラン厨房に最適です。 

特長

  • テーブルやカウンターの上など小スペースでの作業に便利
  • コンパクトサイズでも正確な速度と充填量
  • 多種多様な使い方が可能
  • 食品が接する全てのパーツは素早く丸洗い可能(全てのパーツは食洗器で洗浄可能)
  • 22リットル円錐ホッパー


Universal 2000iFS

幅広く大量充填できる本体が昇降する充填機

40mlから2,750mlまで幅広く大量充填できる、本体が昇降する充填機です。本体を下げてホッパーへの投入が簡単に行えます。また、好みの高さに調整できるので快適に作業することが可能です。

 

特長

  • 大容量79リットルホッパー
  • 鶏肉等の固形物(5~6㎝まで)の充填が可能
  • 非常に丈夫なオールステンレス構造5インチ(127mm)スイベルキャスター付き
  • 傾斜したカバーにより食品の安全性と衛生が向上
  • ワンタッチで昇降し作業高さの調整が簡単


WORKSTATION 1000i

ベーキング生産施設のための下置き充填機

食品サービスの幅広い用途に対応するように設計されています。ワークステーション1000iは、滑らかな充填から塊状の詰め物まで、ベーキング生産施設のための下置き充填機です。人間工学に基づいた設計の洗浄、交換、セットアップが簡単です。

 

特長

  • 最大124ℓ容量のホッパー充填が容易なホッパー高さが低い
  • 工具不要、クイッククリーニング、分解、及び切り替え設計
  • 空気圧制御システム(電気不要)
  • フルウォッシュダウン、すべての食物接触部品食器洗浄機可能
  • 充填範囲14 ml~1060 ml様
  • ガード付きフットペダル


Hopper Topper シリーズ

高温の液体から粘体まで、高速移送ポンプ

品質を損なわずに素早く・簡単・敏速に且つ安全に高温な液体から粘体、そして固形物まで粉製品以外をタンクまたはボールから移送するポンプです。

 

 

特長

  • 素早く製品を交換するための工具不要デザイン
  • 必要に応じてポンプ搬送スピードを調整
  • 製品の状態を維持するジェントルポンプ技術
  • フォトセンサーが一貫したポッパーレベルを制御して正確な充填を実現
  • 24時間毎日連続してポンプ組み上げと搬送が可能
  • 構成部品が少ないので簡単に組み立てと搬送が可能
  • 1時間で約600~4700リットル搬送 ※食材により変動

 



Compact シリーズ

ベストセラー食品業界デポジッター ”万能ピストン充填機” 

約100種類のアタッチメントから皆様の製品・生産量使用形態に合った【清潔に早く正確に、そして使う人を選ばない】世界中で活躍している省人化充填機です。

機種は4モデル

  • 卓上型:Compact Table Topテーブルトップ
  • 自立型:Compact Mobileモバイル
  • 昇降型:Compact Power Liftパワーリフト
  • 二連型:Dual (1フレームCompact2台型)

特長

  • 国際特許取得バルブにより固形物を壊さない
  • 少量から幅の広い充填レンジに対応
  • 高速で正確に計量可能
  • エアー駆動式で食材接触部は本より機械は丸洗いでき部品は食洗器でも洗浄可能
  • 軽量でとても少ないシンプルな部品は扱いやすく分解~清掃が簡単。また組立時間も僅か。
  • 充填量の範囲は【 7ml-530ml 】*水比重換算


iFill Depositor

場所を選ばない、コンパクトな移動式充填機

移動しながら使えるコンパクトな充填機です。シリンダーは必要に応じて2インチと3インチから選ぶことが可能。小さなボウルから大きなバケツまで対応でき、設置する場所や吸い上げる容器を選びません。

 

特長

  • 吸い上げる量と速度を調節可能
  • ステンレス構造で衛生的
  • 任意の場所まで移動して充填作業ができる
  • シリンダーの直径が2インチ(50mm)と3インチ(75mm)から選択できる

製品に関するお問い合わせ

製品についてのご質問・お問合せを本フォームにて受け付けておりますので、お気軽にご連絡ください。

フォームが表示されるまでしばらくお待ち下さい。

恐れ入りますが、しばらくお待ちいただいてもフォームが表示されない場合は、こちらまでお問い合わせください。